前任の常勤弁護士に引き続いて、今年も青森高校の進路職業ガイダンスの講師を勤めてきました。
高校1年生が対象ということで、弁護士についてというよりも、まずは法学部に関心を持ってもらおう、そのためには、
「法学教育を受けた人間が、ひとり裁判官、弁護士のような専門法律家としてのみならず、一般の事務を取り扱う事務官や会社員等としても役立つのは、彼らが右に述べたような法学的素養を持つからである。」(末弘厳太郎「新たに法学部に入学された諸君へ」)
ということを分かってもらおう、ということを目標にしました。
そこで、まず、公平かつ効率的な業務の遂行にはルールが必要なこと、ルールの作成と運用の難しさ、だからこそ事務官や会社員等としても法律学が役立つこと、などを、高校生にも分かる喩えで説明していこうということで、「コンビニのレジで学割を始めるとしたらどのようなマニュアルにするか」「交差点をどう定義するか」というテーマでソクラティック・メソッドを試み、
実際の制度でも要件の概念の限界のところが問題になりやすいことを「出生」を例に説明し、正義論の話もしたかったのでトロッコ問題と臓器くじの問題を取り上げました。
時間が足りなくなってしまい、あまり弁護士や法テラスについて、あるいは自分については話せなかったのですが、少しでも法律学に興味をもってもらえたらよいなと思います。
1番好きだった答えは、トロッコ問題で、ポイントを切り替えるべきか、切り替えないべきか、という質問に対する、「トロッコを自分で止める」でした。
人間としては素晴らしいものの、義務付けるルールの内容にできるでしょうか、というコメントになりました。