こちらの新しい記事の方がおすすめです。よりシンプルな説明にしました→「法テラス償還猶予と償還免除の説明」
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よく質問されるので説明を作りました。
関係機関の方も誤解していることがあって,案内されてきたお客さんが「話が違う」となることも時々あります。
結論からいうと,結果的にタダになることはあるが,最初からタダと決まって始まるわけではない,ということになります。
相手方から取れたお金が実質的に生活保護費だといえる場合の償還のあり方については「法テラス敗訴と償還のルール」という記事もあります。(2020.4)
弁護士が依頼を受ける場合、着手金と費用概算を先払いして頂くことが多いです。
このお金をすぐに用立てることが難しい方でも、法テラスの立て替えを利用することで、弁護士に依頼することができます。
ある案件を法テラスの契約弁護士に依頼しようとして、法テラスに申し込んだところ、着手金9万円、費用1万円、計10万円という審査結果だったとします(実際は案件の内容と基準に従って決まります)。
すると、法テラスがこの10万円を立替払いしてくれるので、弁護士はすぐに事件に着手することができます。
そのかわり、立て替えなので、お客さんは法テラスに10万円の借りができたことになります。
借りの部分は、審査結果に従って、月々少しづつ払って返済して頂くようになります。利息はかかりません。月々の支払額は5000円〜10000円を指示されることが多い印象です。
そして、生活保護受給中の方は、この返済が猶予されることが多いのです。私の経験では猶予されなかったことはありません。
その後、案件が終わって、例えば相手から10万円の賠償金が取れたとします。
すると、この10万円を取れたことについて、成功報酬が発生します。
成功報酬は10%と決定されることが多いので、今回は1万円が成功報酬ということになりました。
この場合、まず、預かり金から成功報酬を清算します。
成功報酬を支払って、預かり金の残りは9万円になりました。
次に、預かり金から、立替金の清算をします。
立替金の残高が10万円なので、預かり金の残り9万円を全部清算にあてましたが、立替残高が1万円残ってしまいました。
また、もしこれが相手からお金を取る結論ではなかった場合は、預かり金からの清算ができないので、立替残高は丸々残っていることになります。
(※相手からお金を取る結論にならない場合:成功しなかった場合はもちろんですが、請求された側で防御に成功した場合や、離婚や親権の請求で成功した場合など、お金を取る以外の成功のことがあります。この場合でも成功報酬は発生します。)
この残ってしまった立替残高は、通常は月々の返済を行って頂くことになります。
しかし、もしも案件の終了のときに生活保護受給中であれば、免除の申請ができます。
私の経験では、この申請をして免除にならなかったことはありません。
免除になれば、借りがなくなるわけなので、それ以上返す必要はなく、一件落着ということになります。
以上から、単純に「生活保護だとタダで頼める」とはいえないことがお分かりではないでしょうか。
◯ 預かり金からの清算はあるので、その部分は支払うことになる。
◯ 頼んだ時に生活保護受給でも、終わった時には生活保護を抜けているかもしれず、その場合は残高について免除申請にならない。
他の施策だと生活保護受給の方には自己負担が発生しないものも多いので、それと紛らわしいのですが、弁護士に依頼する場合は、相手方からお金などを取れることがあり、そこからの清算が問題になるため、負担のあり方も違っていると思います。
ここまでの説明ではわかりやすい言葉を使いましたが、法テラスでは、返済のことを「償還」、その猶予や免除のことを「償還猶予」「償還免除」といっています。
ということで、「生活保護だとタダで頼める」わけではないのですが、償還猶予・免除の制度は使えるので、この点をご理解の上、制度を活用していただければと思います。
法律相談のご予約については、「法律相談について(法テラス秩父)」のページをご覧ください。