法テラス制度の償還猶予や償還免除については、よく質問を受けるので、自分の説明用に作成しました。今までで最もシンプルな説明にしています。
よく質問される、「生活保護だと弁護士費用はタダで依頼できるんですか,無料ですか?」というご質問の心は、マイナスになっても支払うお金がない、というご心配だと思います。
それに対するお答えとしては、「進行中は猶予になり(下記①)、終了時にも生活保護を受けていれば残りは免除になるので(下記③)、マイナスになる心配はほとんどありません」「ただし、相手方から取れた分は、原則として返済にあてていただくことになります(プラスマイナスゼロということはありうる)」ということになります。
ですので,生活保護受給中だからといって必要な法律相談や法律家への依頼をあきらめないようにお願いしたいと思います。(2023.4)
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令和6年(2024年)4月から、ひとり親世帯に対する償還免除制度が始まります。償還が免除される場合が少し広がりました。ひとまずこちらにリンクをはっておきます。
→ 法テラス公式サイト「ひとり親世帯の償還免除制度について」
(2024.3追記)
民事法律扶助の制度は、簡単に言うと、 法律家に依頼するためのお金を無利息で立て替えてもらえるので、まとまったお金を用意できない方でも法律家に依頼することができる、というものです。
普通の場合は、
・(1)法律家に依頼するときに、着手金と実費を立て替えてもらい、
・①事件進行中は、それを月々分割で支払っていき(償還金といいます)、
・(2)事件終了時に、成功した場合は成功報酬が発生し、
・②相手方から取れたお金があればそれを使って(1)(2)を精算し、
・③残りがある場合は、事件終了後も、月々分割で支払っていく(償還金)
ということになります。
そして、①②③のそれぞれに猶予や免除をする例外があります。
①の部分に、返済の猶予の制度があります。
生活保護を受けている方、生活保護に準じる程に生計が困難な方、そのほか予定どおりに返済していくことが難しくなっていってしまった方が対象となります。
これにより、当分の間は分割で支払っていくのも難しい、という方でも、法テラス制度を利用して法律家に依頼することができます。
ただし,②③で精算・返済する際に、返済額が多く残っていることにはなります。
後から猶予に変更してもらいたい場合の申請のしかたについては,「償還方法変更申請のやり方」というページを作ってあります。
②では、相手方から取れたお金は、先に精算に入れるのが原則です。
精算して残金がある場合は、お客さんが受け取ることになります。
(そのため、例えば、生活保護受給の方が誰かから1万円を取り立てたい、という案件の場合、仮に成功しても、取り立てた1万円は原則として法テラスへの返済に入れることになるので、結局ご本人が受け取るお金はない、ということがありえます。)
(また、法テラスとの関係でご本人が受け取るお金があった場合でも、福祉事務所との関係で収入認定や保護費返還になることがありえます。)
(この段落2023.4追加)
しかし、その時点での生活状況によっては、③の支払いが多く残ってもいいので、今いくらか返金して欲しいという場合があります。
その場合は、審査によって、一部を精算に入れなくてよくなる(お客さんのお手元に入る)ことがあります。
どれだけを先に精算に入れなければならないかのルールについて詳しく説明しようとしたのが「法テラス敗訴と償還のルール」の記事です。
③の部分に返済の猶予と免除の制度があります。
生活保護を受けている場合と、生活保護に準じる程に生計が困難で生計回復の見込みが少ない場合は、残りの返済が免除になります。
生活保護受給以外でどういう場合に免除にあたるのかについては、法テラスが「生活保護を受給していない方の償還免除申請について」という説明を出しています。
また、終了の時点での生活状況によっては、③の支払いをすぐに始めるのが難しいという場合があります。
その場合は、審査によって、③の返済の猶予期間が設定されます。
後から猶予に変更してもらいたい場合の申請のしかたについては,「償還方法変更申請のやり方」というページを作ってあります。